二次電池の表面欠陥検査
二次電池素材の表面欠陥検査とは?
二次電池素材の表面欠陥検査とは、リチウムイオン電池などの二次電池を構成する電極材、セパレータなどの素材の表面に存在する傷、汚れ、異物、凹凸、変形、コーティング不良などの欠陥を検出する検査のことです。
近年、電気自動車やモバイル機器の普及に伴い、二次電池の需要が急増しています。二次電池の性能や安全性は、構成する素材の品質に大きく左右されるため、製造工程における表面欠陥検査は非常に重要です。
二次電池の表面欠陥検査の具体的な検査対象物
二次電池の表面欠陥検査の対象となる主な素材は以下の通りです。
- 電極材(正極材・負極材)…電極として使用される金属箔や合成素材で、正極材(リチウム金属酸化物など)、負極材(黒鉛など)
- セパレーター…正極と負極を分離する絶縁材で、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
- 電解液容器…電解液を保持する金属やプラスチック容器
- 外装材…電池を保護する金属ケースやラミネートフィルム
二次電池の表面欠陥検査における欠陥の種類と原因
欠陥の種類
電極材
- 傷…引っ掻き傷、擦り傷、圧延傷など
- 汚れ…異物、薬液汚れ、変色など
- 異物…ゴミ、塵、埃、金属片など
- 凹凸…塗布ムラ、シワ、打痕など
- コーティング不良…活物質剥がれ、導電助剤剥がれなど
セパレータ
- 傷…ピンホール、破れ、引っ掻き傷など
- 汚れ…異物、油汚れなど
- 異物…ゴミ、塵、埃など
- 厚みムラ…セパレータの厚さが不均一な状態
電極
- 傷…電極材の剥がれ、集電体の変形など
- 汚れ…異物、塗工不良など
電池ケース
欠陥を生む原因
- 製造工程…原料の不純物、製造装置の汚れ、製造環境からの異物や油分の付着、製造ラインでの粉塵や微粒子の混入、温度管理の不備、コーティング不良、乾燥不良、搬送時の摩擦など
- 保管環境…温度、湿度、光など
- 取り扱い…不適切な取り扱いによる衝撃や落下
二次電池の表面欠陥検査が必要な理由
- 性能確保…高性能な二次電池を製造するため
- 安全性確保…欠陥による発火や爆発などの事故を防止するため
- 寿命向上…電池の劣化を抑制し、寿命を向上させるため
- コスト削減…欠陥品の流出による損失を削減するため
- 信頼性向上…高品質な電池を提供することで、顧客からの信頼を得るため
二次電池の表面欠陥検査の検査基準、検査しないリスク
検査基準
二次電池の検査基準としては、以下の要素が考慮されます。
- 欠陥のサイズと深さ…設定された許容範囲内であること
- 表面均一性…電極材やセパレーターの均一性が保たれていること。
- 異物の有無…外部からの混入がないこと
- JIS規格、ISO standards、社内基準、顧客 requirements など
検査しないリスク
検査を行わない場合、欠陥による製品寿命が大幅に低下するなど電池性能の低下、不良品の出荷による顧客からのクレームやリコールの可能性、ブランドイメージを低下させるリスクがあります。また、欠陥に起因する発火や爆発事故といった重大な安全上の問題の発生リスクがあり、人命にかかわるケースもあるため、検査は重要です。
二次電池の表面欠陥検査の検査例
- 光学検査…高精度カメラで傷や汚れを検出
- レーザー検査…表面の微細な凹凸や異物を検出
- 超音波検査…内部の欠陥や接合不良を確認
- 赤外線検査…温度変化を利用してコーティング不良や異物を検出
表面欠陥検査装置は、目的の検査や対象物に対応しているかで選ぶのが大前提です。
基本性能やコストはもちろん、そのメーカーの装置を選ぶことで
どんなメリットが得られるのかを見極め、導入効果の最大化を図りましょう。