FPD用フィルムの表面欠陥検査
FPD用フィルムの表面欠陥検査とは?
FPD(フラットパネルディスプレイ)用フィルムの表面欠陥検査とは、ディスプレイ製造に使用される高機能フィルムの品質を確保するために行われる検査です。FPD用フィルムは、光学特性や機械的強度が求められるため、微細な傷や異物混入、膜厚の不均一などの欠陥を厳格に管理する必要があります。
スマートフォン、タブレット、テレビなど、私たちの生活に欠かせないフラットパネルディスプレイ(FPD)。その美しい映像表示を支えているのが、FPD用フィルムです。FPD用フィルムは、光の透過、反射、偏光などを制御することで、ディスプレイの視認性や画質を向上させる重要な役割を担っています。しかし、製造工程や取り扱いによって、FPD用フィルムの表面には様々な欠陥が生じる可能性があり、それらの欠陥はディスプレイの品質に大きく影響します。そのため、高精度な表面欠陥検査が不可欠です。
FPD用フィルムの表面欠陥検査の具体的な検査対象物
FPD用フィルムの主な検査対象物は以下の通りです。
- 偏光フィルム…液晶ディスプレイに広く使用されている、特定の方向の光だけを通すフィルム
- 反射防止フィルム…ディスプレイの表面反射を抑え、視認性を向上させるフィルム
- 拡散フィルム…光を拡散させ、視野角を広げるフィルム
- 輝度向上フィルム…ディスプレイの輝度を向上させるフィルム
- その他…保護フィルム、プライバシーフィルター、タッチパネル用フィルムなど
FPD用フィルムの表面欠陥検査における欠陥の種類と原因
欠陥の種類
- 傷…線状の傷、引っ掻き傷、擦り傷、クラックなど
- 異物…ゴミ、塵、埃、金属片、毛髪など
- 欠け…フィルムの縁や角が欠けている状態
- シワ…フィルム表面の折れ目や歪み
- ムラ…膜厚不均一、厚みムラ、色ムラ、輝度ムラ、塗布ムラなど
- 気泡…フィルム内部に閉じ込められた気泡
- ゲル…フィルム材料が未溶解の状態で残っている
- ピンホール…微小な穴
- 異物付着…フィルム表面に異物が付着している
- コーティング不良…コーティングのムラ、剥がれ、ピンホールなど
欠陥を生む原因
- 製造工程…原料の不純物、製造装置の汚れ、温度・湿度管理の不備、塗工不良、乾燥不良、搬送時の摩擦、コーティングやラミネートの精度不足、巻き取り時のテンションムラなど
- 保管環境…温度、湿度、光、埃など
- 取り扱い…不適切な取り扱いによる衝撃や落下、静電気による吸着
FPD用フィルムの表面欠陥検査が必要な理由
- ディスプレイの品質確保…微細な欠陥が映像表示に影響を与えるため
- 生産歩留まりの向上…早期検出により不良品の廃棄を削減するため
- 耐久性の確保…欠陥があるとフィルムの寿命が短くなるため
- 顧客満足度の向上…欠陥を除外することで高品質なディスプレイ製造に直結するため
FPD用フィルムの表面欠陥検査の検査基準、検査しないリスク
検査基準
FPD用フィルムの主な検査基準は以下の通りです。
- 表面清浄度…異物・ホコリの付着がないこと。
- 光学特性の均一性…偏光度、透過率、反射率の規定値遵守。
- 膜厚管理…均一な厚みを保持すること。
- スクラッチ・異物の許容範囲…一定サイズ以上の傷はNG判定。
- JIS規格、ISO standards、社内基準、顧客 requirements など
検査しないリスク
検査を怠ると、表示不良、寿命短縮などの製品の不具合、歩留まり悪化によるコスト増加、欠陥品の流出によるディスプレイの品質低下、顧客クレームや製品リコール、企業のブランドイメージ低下などの深刻なリスクを招きかねません。
FPD用フィルムの表面欠陥検査の検査例
- 高解像度カメラによる自動光学検査(AOI)…微細な異物・傷をリアルタイム検出
- レーザー膜厚測定…均一なコーティングを確認
- 偏光・透過率測定…光学特性の管理
- X線・赤外線検査…内部欠陥の検出
表面欠陥検査装置は、目的の検査や対象物に対応しているかで選ぶのが大前提です。
基本性能やコストはもちろん、そのメーカーの装置を選ぶことで
どんなメリットが得られるのかを見極め、導入効果の最大化を図りましょう。